近視
近視
物がはっきりと良く見える状態というのは、眼球のレンズ(角膜と水晶体)によって光を曲げる力(屈折力)と眼球の長さ(眼軸長)のバランスがとれていて、目に入ってきた光が網膜上に結像しているということです。眼軸長と屈折力のバランスが悪く、物がぼやけて見えてしまう状態を屈折異常といいます。
近視は屈折異常の一つで、遠くのものがぼやけて見える状態です。これは、眼球の形(眼軸長)が前後方向に長くなり、光が網膜の前で焦点を結んでしまうためです。
近視を矯正するために眼球の前に凹レンズをかざすと、焦点が後方にずれるため、光が網膜上に結像し、遠くがはっきり見えるようになります。このときにかざすレンズの凹み量がマイナスディオプター(D)で、マイナス量によって近視の大きさを下のように分類しています。
弱度近視:-0.5D以上-3.0D未満
中等度近視:-3.0D以上-6.0D未満
強度近視:-6.0D以上
視機能障害を伴わない「単純近視」と、視機能障害を伴う「病的近視」とする分類があります。強度近視は将来的に視機能障害を起こすことがあります。眼軸長が長くなりすぎることで網膜・脈絡膜が引き伸ばされて解剖学的な器質変化を起こし、結果として黄斑変性・緑内障・網膜剥離などの眼疾患を引き起こしてしまいます。
矯正方法
近視は以下の方法で矯正できます:
眼鏡:凹レンズを使用して屈折を調整します。幼児期より装用可能です。
コンタクトレンズ:角膜に直径8~14mmの凹レンズを密着させます。小学校高学年以上で装用可能です。
オルソケラトロジー:夜間寝ている間にコンタクトレンズを装用し、角膜前面を変形させるレンズ効果によって角膜屈折力を弱めます。小学校高学年から装用可能です。
レーシック手術:レーザーで角膜実質を薄く切除し、角膜を平坦に変形させることで角膜屈折力を弱める手術です。近視進行が停まった20歳以降、老眼が始まっていない45歳以下が適しています。
ICL手術:角膜に3mmの孔を開けて、ICLという特殊なレンズを虹彩と水晶体の隙間に挿入する手術です。近視進行が停まった20歳以降、老眼が始まっていない45歳以下が適しています。
近視の進行を抑えるためには、以下の点に注意することが重要です:
・自然光の下で遠くを見る屋外活動を1日2時間以上することで近視の進行が抑えられます。
・勉強や読書をするときは照明を十分明るくしましょう。
・じゅうぶん睡眠時間を確保しましょう。
・長時間パソコンやスマホ、タブレットを見続けることを避けて、30分に一度、5分ほど遠方を見る休憩時間を取りましょう。
・ゲームをする時は携帯モードではなく2m以上距離をとってテレビ画面に映して、30分に一度休憩を入れましょう。