見えにくい
見えにくい
見えにくくなっていることを視力低下といいます。見え方の違い、急激な視力低下、徐々に視力が低下しているのか、視力低下以外にも症状があるのかなど、「視力低下」にも色々あって、考えられる疾患は異なります。いろんな視力低下パターンから考えられる疾患をここでは紹介します。
単純にぼやけて見えて、眼鏡をかければ見えるというのは裸眼(メガネやコンタクトレンズ無しで見る)視力低下の状態です。メガネやコンタクトで矯正すれば見えるので矯正視力は良好という状態です。近視、強い遠視、乱視、老眼などがあり、近視性乱視や老眼+乱視などの組み合わせもあります。加齢とともに近視・乱視・老眼が悪化して徐々に見えにくくなります。治療は基本的には眼鏡処方やコンタクトレンズ処方ですが、最近はマイオピン点眼、オルソケラトロジーレンズ、ICL手術など、色々な選択肢が出てきています。年齢や目の状態によって最適な方法がありますのでぜひご相談ください。
マイオピンについて
https://www.myopine-eyelens.sg/(他のサイトにリンクしています)
白っぽくかすんで見えたり、光がまぶしく感じる場合は白内障、ドライアイ、角膜混濁、虹彩炎など眼球の前方に病気が起こっていることが多いですが、時には緑内障や網膜疾患などで白っぽく見える場合もあります。
白内障は眼球内のレンズである水晶体が加齢や糖尿病、アトピーなどで白く濁ってしまい、外から来た光が散乱して白っぽく見えてしまう病気です。
ドライアイは目の表面を覆っている涙の量が減少することで、角膜・結膜上皮に慢性的な炎症が起こっている状態です。
角膜混濁は炎症や遺伝により黒目の表面の角膜レンズが濁ってしまう病気です。
虹彩炎は虹彩の血管炎症により炎症細胞が前房内に多量に出現し、外から来た光が散乱します。
上記のどんな疾患でも、確実に診断して適した治療を行えば症状を軽減できます。
見えにくい場所がある見え方を視野欠損と呼びます。視野欠損している場所が日によって変わったり、見る方向を変えた時に場所が変わることは飛蚊症と言い、硝子体という眼球内部を満たすゼリー内の濁りが原因の可能性が高いです。硝子体の濁り(硝子体混濁)は、加齢によって硝子体ゼリーが収縮して濁りが出現し影となって見えてしまう場合、網膜の血管が破れて出血がゼリーに絡んで濁っている場合などがあります。欠損範囲が広がってきた場合は網膜剥離も考えられます。ぶどう膜炎による炎症でゼリーが濁ることもあります。
常に視野欠損している場所が固定している場合は網膜血管閉塞症、加齢黄斑変性、緑内障、視神経疾患、脳血管障害が考えられます。
網膜静脈閉塞症は網膜血管が閉塞する病気です。光を感じる役目の網膜細胞は血管から栄養と酸素を受け取っており、血管閉塞により網膜細胞が死ぬと見えない場所ができてしまいます。
加齢黄斑変性は主に視野の中心が見えにくくなり、徐々に、時には急激に真ん中から周りも見えなくなります。以下のリンクで詳しく説明しています。
緑内障は以下のリンクで詳しく説明しています。
視神経疾患としては、視神経炎、血管障害である虚血性視神経症、薬の副作用である薬剤性視神経症、遺伝性視神経症、視神経萎縮などが考えられます。MRIなどの画像診断や神経内科受診が必要な疾患が多く、大学病院や基幹病院に紹介し精査を依頼します。緑内障も視神経疾患といえます。これらは視神経と脳をつなぐ神経回路のうち、視交叉という神経ジャンクションより眼球側(末端側)で起こるため上下で見え方に差が出ます。
脳血管障害や脳腫瘍なども視野欠損を起こします。これらの疾患は視交叉より脳側(中枢側)の病気で起こるため左右で見え方に差が出ます。
真ん中が歪んで見える場合はすべて網膜中心部、黄斑の病気です。以下のものがあります。
黄斑前膜
黄斑円孔
黄斑浮腫
中心性漿液性網脈絡膜症
加齢黄斑変性
急に片目だけ暗くなったというのは多くが網膜血管の出血や閉塞ですが、視神経疾患でも急に見えなくなります。考えられる疾患としては以下のようなものがあります。
硝子体出血は網膜血管が破れて硝子体という眼球内のゼリーが血液に染まって網膜まで光が届かなくなった状態です。
網膜中心静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症では血管閉塞で網膜へ行くはずの栄養と酸素が遮断され、光を感じる力が一気に落ちてしまいます。
網膜剥離は、硝子体収縮によって網膜が引っ張られて網膜裂孔という穴が開いて、硝子体液が急激に網膜の裏側に流入することで網膜が眼球壁から外れて視力が低下します。多くの場合、早めに手術が必要になります。
充血や痛みと同時に見えにくくなった場合は比較的重症であったり緊急性の病気が多く、早めの眼科受診が必要です。
疾患としては
などがあります。