白内障手術
白内障手術
白内障手術は日帰りで行います。手術予定日の指定時間に来院し、受付をします。その日の体調などについて聞き取りを行い、散瞳(瞳孔を開く)点眼をします。30~60分、瞳孔が開くのを待ってから手術室に入って手術ベッドに仰向けになります。目を洗って消毒し、顔に清潔なシートをかぶせます。医師やスタッフの声は聞こえますし、意識はしっかりしている状態で手術を行います。
局所麻酔でほとんど痛みは伴いません。患者様は音楽を聴きながらリラックスして手術を受けることができます。平均的な進行度の白内障に対する手術では10分くらいで終わります。
終了後は目の周りを拭き、眼帯をして少し休憩、眼帯を付けたまま帰宅します。翌日は外来にて診察します。その時に眼帯を外して見ていただくことになります。
術後は感染予防のためのいくつかの注意点がありますが、負担のない範囲で通常の生活が可能です。
白内障は、眼球内でレンズの働きをする透明な水晶体が濁ってしまう病気です。最も多い原因は加齢によるもので、60歳を過ぎた頃から水晶体が濁り始め、70代以降の高齢の方ではその大半に白内障の症状がみられます。
一方、年齢にかかわらず発症する若年性白内障は、眼内に炎症が生じるぶどう膜炎や、糖尿病、アトピー性皮膚炎が原因となって起こります。このほか、生まれつき水晶体に濁りがある先天性、けがや衝撃による外傷性、網膜剥離などほかの目の病気に続いて起こる白内障もあります。
白内障で水晶体が濁り始めると、光が散乱するため、目がかすんだり、物が二重に見えたり、明るいところでまぶしく感じるなどの症状が現れます。進行すると視力が低下し、眼鏡を掛けても物が見えにくくなります。
加齢性白内障は、高齢の方ほど多く発症する老化現象です。初期の段階であれば、点眼薬や紫外線を避けることで、白内障の進行をわずかながら遅らせることができます。病状が進行し、日常生活に影響が及ぶようになれば、完治のための手術療法が必要となります。
進行した白内障に対して、濁った水晶体を取り出し、眼内レンズ(アクリル樹脂などでできた人工の水晶体)に置き換える手術が白内障手術です。白内障手術の安全性は向上しており、多くの場合は入院せずに日帰りで行うことが可能です。
手術の方法は超音波水晶体乳化吸引術と呼ばれ、超音波の振動によって濁った水晶体を細かく破砕し、吸引した後に眼内レンズを挿入します。この術式では切開する角膜の創口が小さく(2ミリ程度)、縫合する必要はありません。術後の乱視や感染症リスクを軽減することができます。
手術前に診察させていただきます。白内障手術および手術に向けての準備、生活の注意点などを説明いたします。その際、手術同意書をお渡しします。
決定した手術日の3日前から、眼内のバイ菌量をできるだけ少なくするため、抗生物質の点眼を開始します。1日3回、必ず点眼してください。
手術前の制限はとくにありません。運動・食事・入浴など普段通りにお過ごしください。
手術後は入浴や洗髪の制限があります。前日のうちにゆっくりと入浴(洗髪)されることをおすすめします。
ご来院
検査
聞き取り
手術
休憩
眼内炎予防のための目薬を処方します。決められた回数の点眼を必ず継続してください(約2ヶ月継続していただきます)。
手術跡からバイ菌が入ることを防ぐために、清潔を保つようにしてください。目を強く押さえつけたり、こすったりしないように気をつけてください。
手術後、3日間(手術当日を含む)は洗顔や入浴、洗髪を控えてください。手術の翌日から首から下のシャワーのみ可能ですが、顔を濡らさないように注意してください。術後3日目の朝からはいつも通りに洗顔や入浴をしていただけます。
目に刺激となることがありますので、1週間は飲酒を控えてください。再開時期は診察時に確認してください。
車やバイク、自転車の運転は、1週間は控えてください。見え方が安定すれば、運転は可能ですが、再開時期は診察時に確認してください。
ウォーキングなどの軽い運動や日常での家事、デスクワークであれば手術の翌日から可能です。汗をかくような運動、重いものを持つなど重労働は、手術後2週間は控えてください。運動の再開時期は内容によって異なりますので、診察時に確認してください。
混濁した水晶体の代わりに挿入する眼内レンズ(人工の水晶体)には、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2つのタイプがあります。
人の目は、近くにも遠くにも焦点を合わせられる仕組みになっていますが、単焦点眼内レンズは、そのいずれか一方の焦点にしかピントを合わせることができません。そのため手術後も近視用の眼鏡や老眼鏡で矯正する必要があります。ただ同レンズは保険診療で扱える⼀般的なレンズであり、見え方も鮮明で、経済的負担も少ないといえます。
一方、多焦点眼内レンズは、遠近両方にピントを合わせることが可能です。近くと遠くにピントが合う2焦点タイプ、さらに中間距離にも焦点が合う3焦点タイプがあります。同レンズを選択することで、眼鏡を使用する頻度を減らすことができます。多焦点眼内レンズに特有のデメリットとして手術後の見え方で光がにじんだり弾けて見える現象(ハロー・グレア)が起こることがあります。遠くから手元まで全ての距離で見やすいわけではなく、見えにくい距離も存在しますので眼鏡が必要になる場面もあります。また、保険適用外となるためお支払いいただく料金は高くなります。
眼内レンズは手術後のライフスタイルに合わせて最適なものを患者様ご自身に選んでいただくことが大切です。そのため、検査だけで決めるのではなく、どのような見え方をご希望されているかをじっくりうかがったうえで、選択肢を提案させていただきます。