緑内障手術
緑内障手術
緑内障に対しては、まずは点眼が最初に行う治療となります。緑内障は視神経障害により進行性に視野が狭くなる病気で、治療をしたからといって視力は良くなりません。将来的に失明にいたる可能性を小さくすることを目的に、眼圧を下降させる治療を行います。
眼圧下降治療には点眼、レーザー、緑内障手術がありますが、レーザーや緑内障手術をした時には合併症が起こるリスクが有るので、まずは重篤な合併症が起こりにくい点眼治療を行います。
作用のしかたが異なる複数種類の点眼があり、1種類の点眼で眼圧が下がりにくい場合は追加で2種類、3種類と点眼種類を増やします。しかし3種類以上の点眼治療によって目標となる眼圧まで下がらない場合や、アレルギーで点眼ができない場合、点眼を継続できない事情がある場合はやや侵襲が少ないレーザー治療、それでも眼圧が下がりにくい場合は手術治療を行います。
緑内障は、隅角閉塞型と隅角開放型という大きく2種に分けられます。
隅角閉塞型緑内障に対しては、レーザー虹彩切開術を行い、房水の流れを改善することで、将来的に急性緑内障発作を予防することができます。レーザー虹彩切開術の術後合併症として、角膜内皮障害が起こることがあります。
急性緑内障発作が起こってしまった場合は水晶体摘出手術を行うことで眼痛を改善し視野悪化を防ぐことが可能です。
隅角開放型緑内障に対しては、選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)を行います。これは隅角に詰まった色素細胞だけを選択的に凝固して隅角線維柱帯からの房水吸収を改善させる効果があります。効果は3~4mmHgの眼圧下降が得られますが、この治療だけで目標眼圧まで下げられることは少ないため、点眼種類を減らすことが期待できます。治療後に一時的な眼圧上昇や前房内炎症、前房内出血、角膜内皮減少といった合併症が起こる可能性があります。
閉塞隅角に伴う急性緑内障発作に対しては白内障手術を行います。急性緑内障では水晶体が前方移動して隅角を閉塞させ、後ろから前房の方への房水移動が妨げられ、急激に眼圧が上昇して強い眼痛と視力低下を引き起こします。我慢して放置すると失明してしまいますので早めの手術が必要です。白内障手術で水晶体を摘出することで房水の流れが良くなり、眼圧が下がります。多くの場合は同時に眼内レンズを挿入できますが、水晶体を支えるチン氏小帯が弱い時はレンズを入れられない場合もあります。
開放隅角緑内障にはトラベクロトミー(線維柱帯切開術)とトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)という手術治療を行います。
トラベクロトミーは手術の痛みが少なく、短時間で終わる治療です。4~6mmHgの眼圧下降が得られます。角膜輪部に小さな切開を開けて、隅角鏡で観察しながら細い鈎(マイクロフック)で線維柱帯を切開します。術後合併症としては一時的な眼圧上昇、前房出血、ごくまれに眼内感染が起こり得ます。
トラベクレクトミーの手術時間は1時間程度です。10mmHg以上、かなり大きく眼圧下降させることができますが、術後しばらくは眼圧が不安定となりますので眼圧コントロールするためにレーザー、縫合、注射などの処置が必要になります。ときに前房出血、駆出性出血、眼内感染など重篤な術後合併症が起こり得ます。
EXPRESSというシャント器具を設置して前房から房水を結膜下へ流出させる方法を当院では行っています。トラベクレクトミーよりも安全性が高い一方、やや眼圧下降効果では劣ります。
EXPRESS本体
アーメドバルブというシャント器具を結膜下に設置する場合もあります。眼圧下降効果は高いですが、シャント器具やチューブの露出といった合併症が起こることがあります。
アーメドバルブ本体